将棋のルール

初めての方の確認用にも、大会前の見直しにも使えるように、公式ルールの要点を図と一緒にまとめました。反則や千日手、持将棋の点数計算など、迷いやすい部分も細かく扱います。

盤と駒

将棋は縦横9マス、計81マスの盤で2人が交互に指すゲームです。先に指す側を先手(記号▲)、後から指す側を後手(△)と呼びます。駒は1人20枚、合計40枚で、種類は8つです。

初期配置。手前が先手(▲)、奥が後手(△)
初期配置。手前が先手(▲)、奥が後手(△)

盤の位置は「筋」と「段」で表します。先手から見て右端が1筋、左端が9筋。段は奥(後手側)から一段目、二段目…九段目です。たとえば先手の角が最初にいる位置は「8八」、飛車は「2八」です。

駒読み1人の枚数成ると
玉将・王将ぎょくしょう・おうしょう1成れない
飛車ひしゃ1竜王(竜)
角行かくぎょう1竜馬(馬)
金将きんしょう2成れない
銀将ぎんしょう2成銀
桂馬けいま2成桂
香車きょうしゃ2成香
歩兵ふひょう9と金

王将と玉将は同じ働きの駒で、慣習として上位者(目上の人)が王将を、もう一方が玉将を使います。この記事では両方まとめて「玉」と書きます。

駒の動き

図の赤い点は1回で動ける場所、矢印は「その方向なら何マスでも進める(途中に駒があればそこまで)」を表します。上が相手陣の方向です。駒を飛び越えられるのは桂馬だけです。

玉
玉将・王将
飛
飛車(ひしゃ)
角
角行(かく)
金
金将(きん)
銀
銀将(ぎん)
桂
桂馬(けい)
香
香車(きょう)
歩
歩兵(ふ)
  • 玉: 周囲8方向に1マス。取られたら負けになる駒なので、相手の駒が利いているマスには動けません。
  • 飛車: 縦横に何マスでも。最も強い攻め駒です。
  • 角: 斜めに何マスでも。遠くから利く分、相手の玉や駒をにらむ使い方が多くなります。
  • 金: 前・斜め前・横・真後ろの6方向に1マス。斜め後ろには下がれません。
  • 銀: 前と斜め4方向の5マス。横と真後ろには動けません。
  • 桂馬: 2マス前の左右どちらかへ跳びます。間の駒は関係ありません。後ろには戻れません。
  • 香車: 前にだけ何マスでも。
  • 歩: 前に1マスだけ。駒を取るときも真っすぐ前の駒しか取れません(チェスのポーンとは違います)。

成った駒の動き

竜
竜王(りゅう)
馬
竜馬(うま)
と
と金
全
成銀

竜(成った飛車)は飛車の動きに斜め1マスが、馬(成った角)は角の動きに縦横1マスが加わります。と金・成香・成桂・成銀の4つは、どれも金と同じ動きになります。

成り

相手側の3段(先手なら一〜三段目)を敵陣と呼びます。駒が敵陣に入るとき、敵陣の中で動くとき、敵陣から出るときのいずれかで、駒を裏返して「成る」ことができます。成るかどうかは指す人が選べます。

黄色が先手にとっての敵陣(相手側の3段)
  • 成れるのは飛車・角・銀・桂・香・歩の6種類。玉と金は成れません。
  • 一度成った駒は元に戻せません。ただし相手に取られると、持ち駒としては成る前の駒に戻ります。
  • それ以上進めなくなる場合は成らなければいけません。歩と香は一段目、桂は一段目と二段目に進むとき、成るのが必須です(不成は反則)。
  • 持ち駒を打つときは、敵陣の中でも必ず成っていない状態で打ちます。打った後の次の動きで成ることができます。

銀や桂はあえて成らない(不成)ほうが得な場面がよくあります。成銀は斜め後ろに下がれなくなり、成桂は桂の跳ぶ動きを失うからです。

持ち駒と「打つ」

取った相手の駒は自分の持ち駒になり、駒台に置きます。自分の手番には、盤上の駒を動かす代わりに、持ち駒を空いているマスに1枚打つことができます。これがチェスとの一番大きな違いで、終盤まで駒が減らないため、逆転が起きやすいゲームになっています。

  • 打てるのは空いているマスだけ。打った駒で同時に相手の駒を取ることはできません。
  • 持ち駒を何枚持っていても、1手で打てるのは1枚です。
  • 持ち駒は相手に見えるように駒台に置きます。隠したり握ったりしてはいけません。

打つ場所には3つの制限があります。次の「反則」の節で図とともに説明します。

反則(禁じ手)一覧

日本将棋連盟の「対局規則」では、反則をした側はその時点で反則負けです。何手か前の反則でも、対局中に指摘されれば反則負けです。一方、反則に気付かないまま投了などで終局した場合は、その結果が優先されます(投了優先)。友達同士の対局では指し直して続けることもありますが、ルールとしては負けだと覚えておきましょう。

反則内容
二歩(にふ)成っていない自分の歩がある筋に、もう1枚歩を打つこと。と金がある筋には打てます。
打ち歩詰め持ち駒の歩を打って相手の玉を詰ますこと。盤上の歩を突いて詰ます「突き歩詰め」は反則ではありません。
行き所のない駒二度と動けない場所に駒を打つ・不成で進めること。歩・香は一段目、桂は一・二段目が該当します。
王手放置王手をかけられているのに防がない手、または自分の玉を相手の駒が利いているマスに動かす手。
連続王手の千日手王手を続けて同じ局面を4回出現させること。王手をかけていた側の負けになります。
二手指し相手の手番を飛ばして2回続けて指すこと。
駒の動きの違反駒が動けない場所へ動かすこと、相手の駒や飛び越えられない駒を越えて動かすことなど。
成れない駒を成る金・玉を裏返す、敵陣と関係ない場所で成る、成った駒を元に戻すなど。
待った指し終えた手(駒から手を離した手)を戻すこと。
先後誤り先手でない側が最初の手を指すこと。
時間切れ持ち時間(秒読みがある場合は秒読み)を使い切ること。その時点で負けになります。
助言・研究対局中に他人の助言を受けたり、別の盤で手を調べたりすること。

二歩

2筋には先手の歩があるので2五歩打は二歩(赤)。3筋は打てる(緑)

二歩は実戦で一番多い反則で、プロの公式戦でも毎年のように起きています。「と金」は歩ではないので、と金がいる筋には歩を打てます。

行き所のない駒

赤はどれも行き所のない駒になるので打てない。桂は3段目(2三)なら打てる

打ち歩詰めと突き歩詰め

▲1二歩打は詰みになるため反則(打ち歩詰め)
盤上の歩を突いて詰ます▲1二歩(突き歩詰め)は反則ではない

打ち歩詰めで禁止されているのは「打った歩で詰ます」ことだけです。歩を打って王手をかけるのは自由で、相手に逃げ道があれば反則ではありません。また、盤上の歩を進めて詰ますのはまったく問題ありません。

勝ち負けの決まり方

  • 詰み: 相手の玉に王手をかけ、どう応じても玉が取られる状態にすれば勝ちです。実際に玉を取るところまでは指しません。
  • 投了: 負けを認めて「負けました」と言うこと。プロの対局は詰みの前の投了で終わるのがふつうです。
  • 反則負け: 上の反則をした側の負けです。
  • 時間切れ負け: 持ち時間や秒読みを使い切った側の負けです。
  • 入玉宣言: 大会で宣言法が採用されている場合、条件を満たして宣言した側の勝ちになります(後述)。
▲5二金打までの詰み。5三の歩が金を支えている
▲5二金打までの詰み。5三の歩が金を支えている

勝ち負けがつかない終わり方として、千日手と持将棋があります。どちらも「引き分け」ですが、プロの公式戦では原則として指し直しになります。

千日手

同じ局面が4回現れると千日手になります。「同じ局面」とは、盤上の駒の配置、両者の持ち駒、手番がすべて同じことです。

  • プロの公式戦では千日手は無勝負となり、先手と後手を入れ替えて指し直します。千日手になった将棋は1局として数えず、指し直し局の結果だけが残ります。指し直し局の持ち時間は棋戦ごとの規定で決まります。
  • ただし、一方が王手を続けて千日手にした場合(連続王手の千日手)は、王手をかけていた側の反則負けです。
  • アマチュアの大会では、指し直しの方法や時間の扱いを大会ごとに決めています。

千日手は「どちらも手を変えると損をする」局面で起きます。たとえば角換わりや相掛かりの序盤で、互いに待つ手を繰り返して千日手になる例がプロでもよく見られます。後手番の棋士が狙って千日手にし、先手番を得て指し直すこともあります。

持将棋と入玉

玉が相手の陣地(敵陣)に入ることを入玉といいます。玉は後ろから攻められにくく、敵陣に入った玉はなかなか詰みません。両方の玉が入玉すると、どちらも相手を詰ます見込みがなくなることがあり、そのときは駒の点数で決着をつけます。

駒の点数

飛車と角(成った竜・馬を含む)を大駒5点、それ以外の金・銀・桂・香・歩(成駒を含む)を小駒1点と数えます。玉は数えません。盤上と持ち駒を合わせた総点数は54点で、平手の初期状態では双方27点ずつです。

プロ公式戦のルール(24点法と入玉宣言)

日本将棋連盟の対局規則では、入玉した将棋の決着のつけ方が3つ決まっています。

  • 合意による持将棋: 双方が「お互いに詰ます見込みがない」と合意したら、盤上と持ち駒の自分の駒を数えます。24点未満の側は負け、双方24点以上なら持将棋(無勝負)で、先後を入れ替えて指し直します。
  • 入玉宣言: 自分の手番で「宣言します」と言って時計を止めます。玉が敵陣にいる、玉以外の駒が敵陣に10枚以上ある、王手がかかっていない、が条件で、敵陣の駒と持ち駒の合計が31点以上なら宣言した側の勝ち、24〜30点なら持将棋です。条件を満たしていなければ宣言した側の負けになります。
  • 500手ルール: 500手に達しても決着しない場合は、点数に関係なく持将棋になります。

タイトル戦では、持将棋を指し直さず、番勝負の中の引き分け1局として数える規定の棋戦もあります。

アマチュア大会の27点法

アマチュアの大会やコンピュータ将棋、ネット将棋では、引き分けをなくすために「27点法」の入玉宣言がよく使われます。対局規則でも、大会が27点法を採用できることになっています。宣言できる条件は次のとおりです。

  1. 宣言する側の手番である。
  2. 宣言する側の玉が敵陣(相手側3段)に入っている。
  3. 宣言する側の敵陣にいる駒(玉を除く)が10枚以上ある。
  4. 宣言する側の点数(敵陣にいる駒+持ち駒、大駒5点・小駒1点)が、先手は28点以上、後手は27点以上ある。
  5. 宣言する側の玉に王手がかかっていない。
  6. 宣言する側の持ち時間が残っている。

条件をすべて満たしていれば宣言した側の勝ち、満たしていなければ宣言した側の負けです。どの方式を採用するかは大会ごとに決まるので、参加する大会の要項を確認してください。

駒落ち(手合割)

実力差がある対局では、強い側(上手・うわて)が最初から駒を何枚か減らして指します。これを駒落ちといい、どの駒を落とすかの組み合わせを手合割と呼びます。駒落ちでは上手が先に指すのが決まりです。落とす駒はすべて上手の駒で、下手(したて)は平手と同じ並びです。

手合割上手が落とす駒
香落ち左の香(上手から見て左、盤面では1一の香)
右香落ち右の香(9一の香)
角落ち角
飛車落ち飛車
飛香落ち飛車と左の香
二枚落ち飛車と角
四枚落ち飛車・角・両方の香
六枚落ち飛車・角・両方の香・両方の桂
八枚落ち飛車・角・香・桂・銀をすべて
十枚落ち玉と歩以外をすべて(金も落とす)
香落ち
香落ち
角落ち
角落ち
飛車落ち
飛車落ち
二枚落ち
二枚落ち
四枚落ち
四枚落ち
六枚落ち
六枚落ち

アマチュア同士では、段級位の差で手合を決める目安があります(日本将棋連盟の案内による)。

段級位の差手合
1平手(下位者が先手)
2香落ち
3角落ち
4飛車落ち
5飛香落ち
6〜7二枚落ち
8〜9四枚落ち
10以上六枚落ち

子ども教室や指導対局では、六枚落ち・四枚落ち・二枚落ちが特によく使われます。駒落ちには平手とは別の定跡があり、「二枚落ちの銀多伝」「六枚落ちの端攻め」など、下手が勝つための指し方がよく研究されています。

このサイトではコンピュータ対局で手合割を選んで指せます。

持ち時間と秒読み

公式な対局では、考える時間に制限があります。代表的な方式は次の3つです。

  • 持ち時間+秒読み: 持ち時間を使い切ったら、以後は1手ごとに決まった秒数(30秒や60秒)以内に指します。プロ棋戦の多くがこの方式です。
  • 切れ負け: 持ち時間を使い切った時点で負け。アマチュア大会やネット将棋の短い対局でよく使われます。
  • フィッシャールール: 1手指すごとに数秒ずつ持ち時間が加算されます。切れ負けの「詰んでいるのに時間で負ける」問題を減らせるため、近年は大会でも増えています。

プロの対局の時間の計り方には2種類あります。記録係がストップウォッチで計り、1手ごとに1分未満を切り捨てるストップウォッチ方式(竜王戦・名人戦など)と、1秒単位で減っていくチェスクロック方式(叡王戦・王座戦、テレビ棋戦など)です。ストップウォッチ方式では59秒で指せば持ち時間が減りません。

プロの持ち時間は棋戦によって大きく違い、名人戦は1人9時間の2日制、順位戦は6時間、NHK杯は10分(秒読み30秒と考慮時間あり)、ABEMAトーナメントは5分+1手5秒のフィッシャー方式です。各タイトル戦の持ち時間はタイトル戦のページにまとめています。対局時計は、指した側が自分のボタンを押して相手の時計を動かします。駒を動かしたのと同じ手で押すのがマナーです。

先後の決め方と対局マナー

平手の先手・後手は振り駒で決めます。上位者(段位が上の人)の歩を5枚振り、表の「歩」が多く出れば上位者が先手、裏の「と」が多ければ下位者が先手です。重なったり立ったりした駒は数えず、同数なら振り直します。プロの対局では記録係が上位者の代わりに振ります。

  • 対局の始めに「お願いします」、終わりに「ありがとうございました」とあいさつします。
  • 負けを認めるときは「負けました」と言うか、駒台に手を添えて一礼します。
  • 一度指した手は取り消せません。「待った」はしないのが原則です。
  • 駒から指を離した時点で、その手を指したことになります。
  • 対局中に盤上の駒の位置を直すときは「失礼します」などと声をかけます。

よくある質問

王手をかけられたことに気付かず別の手を指したらどうなりますか?

王手放置の反則になり、その手を指した側の負けです。公式戦では相手が玉を取る必要はなく、反則を指摘した時点で終局します。

と金がある筋に歩を打つのは二歩ですか?

二歩ではありません。二歩になるのは、成っていない自分の歩が同じ筋にあるときだけです。と金は歩とは別の駒として扱われます。

歩を打って王手をするのは反則ですか?

王手そのものは反則ではありません。反則になるのは、打った歩で相手の玉が詰んでしまう場合(打ち歩詰め)だけです。

千日手は何回同じ局面になったら成立しますか?

同じ局面(盤上の配置・持ち駒・手番がすべて同じ)が4回現れた時点で成立します。連続王手によるものなら王手をかけていた側が負けです。

入玉宣言の27点法では、なぜ先手が28点必要なのですか?

先に指す先手のほうが有利とされるため、先手の条件を1点重くしています。後手は27点以上で宣言できます。

駒落ちでは、どちらが先に指しますか?

駒を落とした側(上手)が先に指します。平手のように振り駒はしません。

参考資料

最終更新: 2026-10-17